7月の9条カフェの報告

7月16日(木)午後4時から6時、国立市富士見台のカフェ「ひょうたん島」で第51回「9条カフェ」を開催しました。参加者は9人でした。

ミニ学習のレジュメを掲載します。(無断引用、転載等ご遠慮ください)

〈9条カフェ@くにたち ミニ学習〉

国会に注目! 集団的自衛権の立法措置――「戦争をする国」になるの?

              2015年7月16日 ジャーナリスト今田真人

Ⅰ 戦争法案の条文をよく検討すると見えてくるもの――憲法九条に違反する「集団的自衛権=海外での戦争=の合法化」

・戦争法案(平和安全法制)の構成

10本の法律改正を束ねた「平和安全法制整備法(我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律)」と、新規制定法「国際平和支援法(国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律)」の1本、実質的には合計11本の法律案で構成。

・憲法第九条1項「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」に明確に反する法案の条文の数々。明確な違憲立法。

(1)自衛隊法改正→日本を武力攻撃していない外国に対する「武力の行使」を合法化(集団的自衛権、あるいは、先制攻撃の合法化)

〈現行法〉

(防衛出動)

第七十六条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃(以下「武力攻撃」という。)が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至つた事態に際して、我が国を防衛するため必要があると認める場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。この場合においては、武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)第九条の定めるところにより、国会の承認を得なければならない。

2 内閣総理大臣は、出動の必要がなくなつたときは、直ちに、自衛隊の撤収を命じなければならない。

第八十八条 第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、わが国を防衛するため、必要な武力を行使することができる。

〈改正後〉

(防衛出動)

第七十六条 内閣総理大臣は、次に掲げる事態に際して、我が国を防衛するため必要があると認める場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。この場合においては、武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)第九条の定めるところにより、国会の承認を得なければならない。

一 我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態又は我が国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至つた事態

二 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態

2 内閣総理大臣は、出動の必要がなくなつたときは、直ちに、自衛隊の撤収を命じなければならない。

第八十八条 第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、わが国を防衛するため、必要な武力を行使することができる。

 

(2)周辺事態安全確保法の改正(重要影響事態安全確保法の制定)→安保条約下で米軍の「武力の行使」と一体化

 〈現行法〉(周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律)

(目的)

第一条 この法律は、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下「周辺事態」という。)に対応して我が国が実施する措置、その実施の手続その他の必要な事項を定め、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)の効果的な運用に寄与し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とする。

周辺事態への対応の基本原則)

第二条 政府は、周辺事態に際して、適切かつ迅速に、後方地域支援、後方地域捜索救助活動、周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律(平成十二年法律第百四十五号。以下「船舶検査活動法」という。)に規定する船舶検査活動その他の周辺事態に対応するため必要な措置(以下「対応措置」という。)を実施し、我が国の平和及び安全の確保に努めるものとする。

第六条 4 防衛大臣は、実施区域の全部又は一部がこの法律又は基本計画に定められた要件を満たさないものとなった場合には、速やかに、その指定を変更し、又はそこで実施されている活動の中断を命じなければならない。

5 第三条第二項の後方地域支援のうち公海又はその上空における輸送の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の長又はその指定する者は、当該輸送を実施している場所の近傍において、戦闘行為が行われるに至った場合又は付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合には、当該輸送の実施を一時休止するなどして当該戦闘行為による危険を回避しつつ、前項の規定による措置を待つものとする。

〈改正後〉重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律

(目的)

第一条 この法律は、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下「重要影響事態」という。)に際し、合衆国軍隊等に対する後方支援活動等を行うことにより、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日

米安保条約」という。)の効果的な運用に寄与することを中核とする重要影響事態に対処する外国との連携を強化し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とする。

重要影響事態への対応の基本原則)

第二条 政府は、重要影響事態に際して、適切かつ迅速に、後方支援活動、捜索救助活動、重要影響事態等に際して実施する船舶検査活動に関する法律(平成十二年法律第百四十五号)第二条に規定する船舶検査活動(重要影響事態に際して実施するものに限る。以下「船舶検査活動」という。)その他の重要影響事態に対応するため必要な措置(以下「対応措置」という。)を実施し、我が国の平和及び安全の確保に努めるものとする。

第六条 4 防衛大臣は、実施区域の全部又は一部において、自衛隊の部隊等が第三条第二項の後方支援活動を円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合又は外国の領域で実施する当該後方支援援活動についての第二条第四項の同意が存在しなくなったと認め場合には、速やかに、その指定を変更し、又はそこで実施されている活動の中断を命じなければならない。

5 第三条第二項の後方支援活動のうち我が国の領域外におけるものの実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の長又はその指定する者、当該後方支援活動を実施している場所又はその近傍において、戦闘行為が行われるに至った場合又は付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合には、当該後方支援活動の実施を一時休止するなどして当該戦闘行為による危険を回避しつつ、前項の規定による措置を待つものとする。

(3)国際平和支援法(国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律、海外派兵恒久法)の新規制定→多国籍軍を戦地で「後方支援」、海外での戦争と一体化

(新規立法)

(目的)

第一条 この法律は、国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、かつ、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるもの(以下「国際共同対処事態」という。)に際し、当該活動を行う諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等を行うことにより、国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的とする。

(協力支援活動の実施)

第七条4 防衛大臣は、実施区域の全部又は一部において、自衛隊の部隊等が第三条第二項の協力支援活動を円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合又は外国の領域で実施する当該協力支援活動についての第二条第四項の同意が存在しなくなったと認める場合には、速やかに、その指定を変更し、又はそこで実施されている活動の中断を命じなければならない。

5 第三条第二項の協力支援活動のうち我が国の領域外におけるものの実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の

長又はその指定する者は、当該協力支援活動を実施している場所若しくはその近傍において戦闘行為が行

われるに至った場合若しくは付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合又は当該

部隊等の安全を確保するため必要と認める場合には、当該協力支援活動の実施を一時休止し又は避難するなどして危険を回避しつつ、前項の規定による措置を待つものとする。

Ⅱ 戦争法案の国会提出までのいくつかの背景的出来事

(1)2014年7月1日の安倍内閣の閣議決定「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法 制の整備について」

…3 憲法第9条の下で許容される自衛の措置

(1)我が国を取り巻く安全保障環境の変化に対応し、いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを守り抜くためには、これまでの憲法解釈のままでは必ずしも十分な対応ができないおそれがあることから、いかなる解釈が適切か検討してきた。その際、政府の憲法解釈には論理的整合性と法的安定性が求められる。したがって、従来の政府見解における憲法第9条の解釈の基本的な論理の枠内で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くための論理的な帰結を導く必要がある。…こうした問題意識の下に、現在の安全保障環境に照らして慎重に検討した結果、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されると考えるべきであると判断するに至った。

(2)2015年4月27日の日米ガイドライン(日米防衛協力のための指針)

…D.日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動

日米両国が、各々、米国又は第三国に対する武力攻撃に対処するため、主権の十分な尊重を含む国際法並びに各々の憲法及び国内法に従い、武力の行使を伴う行動をとることを決定する場合であって、日本が武力攻撃を受けるに至っていないとき、日米両国は、当該武力攻撃への対処及び更なる攻撃の抑止において緊密に協力する。共同対処は、政府全体にわたる同盟調整メカニズムを通じて調整される。

日米両国は、当該武力攻撃への対処行動をとっている他国と適切に協力する。

自衛隊は、日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態に対処し、日本の存立を全うし、日本国民を守るため、武力の行使を伴う適切な作戦を実施する。

(3)2015年4月29日の米国議会での安倍首相の演説

…日米同盟を強くしなくてはなりません。私達には、その責任があります。日本はいま、安保法制の充実に取り組んでいます。実現のあかつき、日本は、危機の程度に応じ、切れ目のない対応が、はるかによくできるようになります。この法整備によって、自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟は、より一層堅固になります。それは地域の平和のため、確かな抑止力をもたらすでしょう。戦後、初めての大改革です。この夏までに、成就させます。ここで皆様にご報告したいことがあります。一昨日、ケリー国務長官、カーター国防長官は、私たちの岸田外相、中谷防衛相と会って、協議をしました。いま申し上げた法整備を前提として、日米がそのもてる力をよく合わせられるようにする仕組みができました。一層確実な平和を築くのに必要な枠組みです。それこそが、日米防衛協力の新しいガイドラインにほかなりません。昨日、オバマ大統領と私は、その意義について、互いに認め合いました。皆様、私たちは、真に歴史的な文書に、合意をしたのです。

③(参考)衆院憲法審査会での与党推薦の憲法学者、長谷部恭男氏の違憲発言(2015年6月4日)

中川(正)委員 率直にここでお話を聞きたいんですけれども、先生方は、今の安保法制、憲法違反だと思われますか。それとも、その中に入っていると思われますか。先生方が裁判官となるんだったら、どのように判断されますか。全員。三人とも。
長谷部参考人 安保法制というのは多岐にわたっておりますので、その全てという話にはなかなかならないんですが、まずは、集団的自衛権の行使が許されるというその点について、私は憲法違反であるというふうに考えております。従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつきませんし、法的な安定性を大きく揺るがすものであるというふうに考えております。
それからもう一つ、外国の軍隊の武力行使との一体化に自衛隊の活動がなるのではないのか、私は、その点については、一体化するおそれが極めて強いというふうに考えております。
従前の戦闘地域、非戦闘地域の枠組みを用いた、いわばバッファーを置いた、余裕を持ったところで明確な線を引く、その範囲内での自衛隊の活動にとどめておくべきものであるというふうに考えております。

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